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厚生年金基金制度改革法案の成立について

厚生年金基金制度の大幅縮小に向けたプロセス等を盛り込んだ厚生年金保険法の一部改正法案が国会に提出され、審議されていたところですが、衆議院における修正を経て、本日可決・成立いたしました。

成立した法律の概要等は次のとおりです。

なお、改革の大枠については法律で示されておりますが、特例解散の適用基準や他制度に移行する場合の条件など、より具体的な取扱いについては、今後政省令・通知等で示されることとされております。このため、当基金といたしましては、今後公布される政令・省令等の内容を十分に精査した上で、「基金存続を視野に、対応を検討」していくこととしております。

引き続き、当基金の事業運営にご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

成立した法律の概要と今後の対応について

法案の概要

Ⅰ.法律の概要

成立した法律では、厚生年金基金に関する規定が厚生年金保険法から削除され、施行日以後、厚生年金基金は附則に規定される「存続厚生年金基金」と位置付けられることとなりました。その上で、

   
(1)施行日以後は厚生年金基金の新設は認めない。
(2)施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し、分割納付における事業所間の連帯債務を外すなど、基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例を設ける。
(3)施行日から5年後以降は、代行資産保全の観点から設定した基準を満たさない基金については、厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて、解散命令を発動できる。
(4)上乗せ給付の受給権保全を支援するため、厚生年金基金から他の企業年金等への積立金の移行について特例を設ける。
(5)施行期日は、法律の公布日から1年を超えない範囲で政令で定める日とする。

※基金が代行部分(国)の債務として認識する額

こと等が法律に規定されました。具体的な内容は以下のとおりです。

1.基金制度改革のプロセス

◆基金の保有する年金資産が、国に代わって給付する代行部分に必要な積立額(最低責任準備金)に満たない、いわゆる「代行割れ基金」については、法律の施行日から5年以内に「特例解散」により解散を促す。 ◆一方、代行割れしていない基金については、5年後まで存続を認めるものの、代行返上による他制度への移行又は通常解散による解散を促すとともに、5年経過後は、一定の基準(注)を満たした基金のみ存続を認め、それ以外の基金は、厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて「解散命令」を出すことができる。
(注)基準① 年金資産(純資産)≧最低責任準備金(代行部分の債務)×1.5
または
基準② 年金資産(純資産)≧決算日までの加入期間に見合う最低積立基準額(代行+上乗せ)の債務
◆なお、政府から提出された法案では、上記の基準を満たす基金の存続を認める内容となっておりましたが、衆議院における審議の過程で、「政府は、法施行後10年を経過する日までに、基金が解散し又は他の企業年金制度等へ移行するよう検討し、必要な法制上の措置を講じるものとする。」との附則が追加されました。


【基金制度改革のプロセス】(イメージ)


(注)「代行割れ予備軍」とは厚生労働省資料上の用語である。

2.代行割れ基金の早期解散のための方策

(1)代行割れ基金の解散を促すため、現行の「特例解散制度」を次のとおり拡大する。

◆分割納付方法の見直しにより、分割納付期間を現行の最長15年間から最長30年間に延長する。 ◆分割納付に係る利息について、現行の厚年本体の運用利回りの実績に応じた変動金利から、固定金利(解散した年度の国債利回りをもとに厚生労働大臣が定める率)に改める。 ◆現行の事業所間の連帯債務を外し、解散時に各事業所の債務を確定させる。 ◆特例解散の適用を受ける基金は、申請時点以降、上乗せ給付は全額支給停止。 ◆代行部分の債務である最低責任準備金の計算方法の見直しにより、代行給付費の簡便計算に用いる係数の補正、最低責任準備金の計算に用いる厚年本体の実績運用利回りの適用時期のずれを解消するための「期ずれ」の補正を行う。


(2)基金解散の認可基準について、要件を緩和する。

  現行 基準緩和後
代議員会における
法定議決要件
定数の3/4以上による議決 定数の2/3以上による議決
解散認可申請の
事前手続要件
全事業主の3/4以上の同意
全加入員の3/4以上の同意
全事業主の2/3以上の同意
全加入員の2/3以上の同意
解散認可申請の
理由要件
母体企業の経営悪化等
の理由が必要
理由要件を撤廃

3.基金から他制度への移行支援策

◆代行割れしていない基金が解散する場合、他の企業年金制度等への移行を促進するため、次の移行支援を行う。
  内容
DBへの移行支援 移行時の積立不足を掛金で埋めるための期間を延長
基金解散後、事業所単位で既存のDBへ移行できる仕組みの創設
DCへの移行支援 基金を脱退した事業所の従業員が基金から既存のDCへ資産移換できるように規制緩和
解散後にDCに移行する場合の積立基準に関する規制緩和
退職金の再積立支援 代行割れ基金の解散後、各事業主が、厚年本体への不足額の返還と、退職金の再積立を両立できるようにするための措置
(各事業所が退職金の再積立の観点から、DB等のスキ-ムを活用する場合の積立基準に関する規制緩和 等)
その他 基金解散後、事業所単位で中退共へ移行できる仕組みの創設

Ⅱ.法案の成立を踏まえた当基金の今後の対応について

◆今回成立した法律では特例解散の適用基準や他制度に移行する場合の条件など、その多くの事項が政令や省令へ委任されており、制度改革の全体像が不明であることに加え、選択肢検討の前提となる24年度決算結果(代行割れか否か等)が出ていないこと等から、法律で示されている3つの選択肢について現時点でその結論付けを行うことは適当ではなく、今後、公布される政令・省令等の内容を十分見極めた上で、慎重に検討を行うこととしております。
◆その際には、基金制度が、①公的年金を補完し、従業員のより安定した老後生活を実現するための重要な役割を果たしていること、②加算部分が退職金保全策の手段となっていること等、基金を解散することについては、事業主、加入員、受給者に与える影響が極めて大きい点に留意しながら検討を進めていくこととしております。
◆しかしながらその一方で、基金存続の条件である①純資産の額が最低責任準備金の1.5倍以上、または、②最低積立基準額の1.0倍以上という基準は、当基金にとっては相当に高いハードルとなっております。このハードルを5年間という短期間でクリアするためには、積立水準の大幅向上のための様々な財政健全化策の検討実施が不可欠であり、それらの対応策の実現可能性について十分検討する必要があります。
◆また、代行返上(DB移行)についても、返上に伴う資産規模の大幅縮小によって給付設計の自由度が大幅に阻害される等の問題があり、DB制度運営に必要な資産をいかに確保していくかが課題となるところです。
◆このように、今回の制度改革は現時点において全体像が不明であることに加え、様々な問題点や課題を有していることから、今後政省令等の内容を精査する必要がありますが、「一部存続の道が残された以上、当基金といたしましては、基金存続を視野に、加入員等の皆さまの年金受給権を保全するために最善の進路を検討していく。」ことが、国会で審議中の法案への対応を検討した第219回理事会(平成25年6月12日開催)において確認されたところです。